An Account of My Hut

個人的な備忘録。たぶん誰にも見つかることはないでしょう。

初、電視観望

電視観望はじめました。 これまでオートガイドもせず天文用CMOSも所有していなかったので、興味があったものの手を出せずにいました。先日ひょんなことから天文用CMOSを使えることになり、表題の通り電視観望を試してみた次第です。 とはいいつつ最近は晴れ間がないので、天文用CMOSを全く触ったことがない人がどこに苦労したかを残しておこうと思います。

使うのは

ZWO社やQHY社、SvBony社のCMOSを利用する方がほとんどだと思います。今回自分はPlayeOne社(以下、PO社)のNeputune-C Ⅱを使いました。PO社のCMOSカメラは最近サイトロンさんで取り扱い開始した製品で、ネット上での情報は少なめだと思います(ネットの海は広大ですから、もう少し探せば他にもいらっしゃると思います)。

PO社のCMOSカメラの製品名は惑星の名前になっているのですが、これが用途をわかりにくくしていると思っています。もちろん対象に合わせたセンサー選びもあり得るとは思いますが、自分の光学系に合わせて適宜バローレンズやアイピースを併用して拡大率や合成F値を調整するのが普通だと思っていたのであまり意味がないものではと思います。情報を集めるにあたっても製品名からセンサー情報が読み取れないのは少し不便に感じます。通常のカメラではどこ製の何というセンサーかと言うのは天体用CMOSほど気にしたりしていないので、この件に関しては気にしすぎなのかもしれません。

「Neptune-C IIは、既存のIMX462より大きなチップ面積、高い解像度を備えたソニーの最新イメージセンサーである1/1.8型のIMX464を採用したプラネタリーカメラ」との説明通り最新のイメージセンサーを採用した惑星撮影用CMOSカメラです。赤外にも十分な感度があるのでメタンバンドでの撮影や最近流行りの赤外撮影も可能かと思います。 CMOSカメラについてこれまで所有したことがなく詳しい知識を持っていないので、スペックや他製品との比較は勉強してから書くことにします。

日中に前準備

商品説明にプラネタリーカメラとありますが、早速関係ない電視観望に使います。この時期は晴れないので、まずは日中に各種ドライバーやソフトウェアのダウンロードと使い方を学びます。ドライバ周りやソフト設定で苦労するかと思いきや、購入時に付属する2冊の冊子のとおりに手順を踏むだけで滞りなく進みました。これらは初心者にとってのバイブルだと思います。あらかじめドライバをダウンロードし、SharpCapをダウンロードしてカメラを接続します。そして付属のケーブルを繋ぐことで問題なく認識されました。付属のケーブルは平たいケーブルで程よく撓るので取り回しは良好に感じました。ガイドスコープはピント合わせ部分のネジのピッチが小さかったため、かなり回す必要があり面倒でした。日中手元が見える時に遠くの対象であらかたピントを合わせておかないと夜に手こずりそうです。映像を確認して露光時間やライブスタックのやり方を一通り確認して、日中の準備は終了です。

夜に電視観望

今回はベランダで電視観望を行いました。北極星はみえませんので、ポタ赤を適当に北に向けるだけの簡単セッティングです。SvBONYのガイドスコープを利用しました。ちらっと見るだけなら追尾がなくてもなんとかなりますが、ライブスタックをするなら追尾が必要ですが、今回の焦点距離では追尾精度はほとんど必要なさそうです。センサーサイズが小さいので導入に苦労するかと思っていましたが、リアルタイム性もそこそこ高く、今回は月や惑星という明るい天体でしたのでそこまで苦戦しませんでした。ただ淡い対象を狙う場合はちょっと苦戦しそうな予感です。自分はいつも望遠鏡で手動導入なので多少慣れているのですが、そうでない場合は自動導入機推奨かと思います。

その日は月が太っていたのでまずはお月見を。カメラとPCを接続して蓋を開ける前に感度に注意したほうが良さそうです。電視観望ガイドブックには「ゲインをできる限りあげる」ことが推奨されていたのでそのように設定して始めたところ、月が全力でサチってました。多少のサチりでCMOSが壊れることはそうそうないと思いますが、強い光を入れすぎることは良くないので少しヒヤッとしました(入射するフォトンの量は変わらないからゲインを上げても素子が焼ききれることはないのでしょうか?勉強の必要ありです)。ここらへんの設定の詰め方はもう少し勉強したらまた記事にしたいと思います。

実際に月をみてみるとかなりボヤボヤしてる像でした。スコープの問題かカメラの問題か電視観望はこんなもんなのか?と色々と考えつつ、木星土星を見てみます。かなりボケっとして星の周りがピンぼけしてハロが出ているようになっているな、と思っていたところで雲が出てきて終了。 撤収しながらUV-IRカットフィルターをつけ忘れてることに気づきます。そのせいで(おそらく)赤外ピンボケの像になってしまったということでしょうね。これまでカラーカメラしか使ったことがなかったので、紫外赤外領域の感度がこんなにあるのかということを実感しました。赤外での利用も見込めてワクワクします。ガイドカメラの設計の可能性もあるので後日晴れたらフィルター有無の比較をちゃんとしたいと思います。

つまり

以上まとめて

  • 日中にドライバやソフトウェアは各種ダウンロードしておく
  • 日中に無限遠にピントを合わせておく
  • 月を見る場合はゲインに注意する
  • UV-IRカットフィルタはちゃんとつける(要検証)

これらを気をつけて付属冊子に従うだけで誰でも簡単に電視観望ができそうです。今回はミューロンを外気順応させるだけの時間がなかったので諦めましたが、次回はこのCMOSの名前通り惑星を撮ろうと思っています。

晴れを祈って。