An Account of My Hut

個人的な備忘録。たぶん誰にも見つかることはないでしょう。

ナナロクのすゝめ

高橋製作所のFC-76Dいかがでしょうか?自分が所持しているのはFC-76DCですが、現行版ではFC-76DCUとなり鏡筒を分割することが可能になっています。 自分が初めて手に入れた鏡筒なのですが、これから天文趣味を始めて眼視も撮影もしたいという方には個人的に非常におすすめしています。これまでに議論され尽くされた話題かもしれませんが自分がおすすめする理由をいくつかの観点から紹介したいと思います。5年使った愛着から贔屓目が入っているので悪しからず。

国内製品か海外製品か

もし初めて望遠鏡を買うなら何かあった時のサポート体制や対応の早さを考えて国内製品の新品を買うことをおすすめします。自分が知っている天文ショップの方々は親切かつ丁寧なサポートをしてくださいますが、メーカーに判断を仰がなければいけない場合も考えると国内のものが安心です。そもそも不良品をつかまされる可能性の国内製品の方が低いので(これも諸説ありますし、確率の問題とも言えます)、国内製品なら安心です。そうなると高橋製作所かVIXENかトミーテックの三択です。眼視だけならVIXENのED、SDシリーズがありますが、撮影時に光路上に飛び出した銀箔による輝星割れが起こるので避けたいところです。撮影だけならトミーテックのBORG72FLがありますが、撮影寄りの鏡筒で眼視には向きませんし色々とパーツを組み合わせるのは初めての方にはハードルが少し高いと思います。そういうのが好きという方はトミーテックの製品は非常に刺さると思います。高橋製作所のFC-76DCUであればどちらも十分な性能を発揮してくれます。ということでFC-76D一択! ...というのもあれなので、気になるであろう点も触れつつもう少し掘り下げます。

金額

一つ目は国内鏡筒に絞った時点でしょうがないのですが覚悟すべきは金額です。FC-76Dを撮影まで見越して揃える場合は25万ほどかかります。内訳は本体が145,200円、鏡筒バンド(80QS鏡筒バンド)が14,300円、76Dレデューサーが49,500円、カメラ回転装置(SKY90)が21,450円、カメラマウント(DX-60W)が12,100円です。自分は少しずつ揃えていったこともあってあまり高くついたようには感じませんが、初めて買うには躊躇しますね。ですが眼視も撮影もこれですべてと考えると安...くはないですね。怪しいものや不安が残るものを買うよりは、多少値が張っても安心して眼視も撮影もできる高性能な鏡筒を手に入れるのが良いというのが自分の考えです。とにかく安さを優先したい場合はEVOSTAR72、安さとスペックのバランスを見る場合はSharpstarの76EDPHなどが考えられるのでしょうか。海外製品は自分の周りにユーザーがいないので実際に覗き比べたり撮影画像を比較したことがなく、正確なことが言えません。 天文趣味にも色々な楽しみ方がありますが、撮影や眼視を色々やっていきたいとなるとどこまでもお金の問題はついて回ります。もちろん他にも赤道儀もカメラも必要になってきてしまうのですが、学生でも頑張れば不可能ではない値段ではないでしょうか。社会人であれば趣味としてやっていこうと覚悟を決めれば可能な範囲だと思います。

大きな声では言えませんが、もし天文趣味は肌に合わないとなった場合は売ることも可能です。執筆時点でリセールバリューが最も高い製品は高橋製作所の製品です。

眼視

初めての方は写真で見るような繊細なものを想像している場合がっかりする事が多いです。月のクレータ、火星のなんとなくの模様、木星の縞、土星カッシーニの間隙なら見えます。もう少しマニアックに行くと主要な2重星は見えます。たまに話題になるシリウスBは自分が確認した範囲では無理でした(口径考えると仕方がない)。都内からでもオリオン星雲のぼやっとした部分やアンドロメダ大星雲のぼやっとした感じはわかります。製品として気になる点はただ一つ、ドローチューブ繰り出し量の短さです。直視だけならば問題ないのですが、天頂プリズム・ミラーを変えながら使ったりピント位置の大きく異なるアイピースを使ったりする際に微妙に繰り出し量が足りないor多いという問題に直面します。接眼部の大きさ故仕方ないのですが、実際に使っているとリングを抜いたり追加したりするのはかなり煩わしいです。初めての方はアイピースもアクセサリーも種類がないだろうからそこまで気にならないかもしれません。気になる方はお高くなりますがFC-76DFを サイズとしてみると口径76mmはちょうど良く気軽に持ち出せるサイズの鏡筒として本当におすすめです。

もし同口径の2枚玉でもっとよく見えるよという鏡筒をご存じの方は是非教えていただきたいです!自分としてはFOA60とサイドバイサイドで見比べていないので、そのうち見比べたいと思っています。

撮影

作例というほど立派なものは撮影できていないので主観的な感想だけ記します。APS-Cであれば周辺光量落ちも少なくあまり気にしないのであればフラット補正なしでも使えなくはありません。色収差は多少出るのでソフトウェアで補正するのがいいと思います。フルサイズだと周辺では多少星像の崩れが見られるのでそれなりの光量落ちがあるのでフラット補正が必要です。センサーサイズ大きくすると情報量はリッチになると思いますが、色々と気にしないといけないことが増えるのでAPS-Cでの使用に留めておくのが吉だと考えます。

その他の推しポイント

FC-76DCUは分割鏡筒なので海外に持っていきやすいです。色々機材を持っている方のサブとしてもオススメです。また、DCUは対物レンズを60CBに換装することも可能なのでナナロクで眼視や撮影を楽しんでから焦点距離を変えるという使い方も見越して非常に魅力的だと思います。


色々と書いてきましたがナナロクの輪を広げたいという思いでこの記事を書いています。本当に悪いことは言わないので初めての人は是非ナナロクを検討してみてください。 もちろん各人のニーズにあったより良い鏡筒もあると思うので、ひとつの情報を盲目的に信じずに色々と調べてみてくださいね。 ここまで書いておいてなんですが、初めて鏡筒を買う際の一番のおすすめはネットや家電量販店ではなく、望遠鏡専門店でプロに相談することだと思います。。。

後日しれっと書き足したり直したりした場合は悪しからず。